肩の痛み、その原因を詳しく解説します
肩の痛みは、日常生活に大きな影響を与え、多くの人を悩ませる症状です。その原因は様々で、適切な診断と治療を受けることが大切です。
肩の痛みを引き起こす主な疾患
1. 肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)
- 特徴: 肩関節の周囲の組織(関節包、腱など)に炎症が起こり、肩の動きが制限される疾患です。
- 症状:
- 痛み:特に夜間痛が特徴的で、寝返りを打つ際に痛みで目が覚めることがあります。
- 動き制限:肩を上げたり、後ろに回したりする動作が困難になります。
- 原因: 加齢、肩の使いすぎ、慢性の炎症などが考えられていますが、明確な原因は分かっていません。
- 診断: 症状、問診、身体検査に基づいて診断されます。画像検査(レントゲン、MRIなど)は、他の疾患との鑑別や合併症の有無を調べるために用いられます。
2. 肩峰下インピンジメント症候群
- 特徴: 肩を上げる際に、肩峰(肩の先端の骨)と腱板が衝突し、腱板が挟まれて炎症を起こす疾患です。
- 症状:
- 痛み:肩を上げる時や、腕を後ろに回す時に痛みが出ます。
- 動き制限:肩の上方への動きが制限されます。
- 原因: 繰り返しの肩の使いすぎ、肩の構造的な異常などが原因として挙げられます。
- 診断: 症状、問診、身体検査に加え、画像検査(MRIなど)で診断されます。
3. 石灰沈着性腱板炎
- 特徴: 腱板にカルシウムが沈着し、炎症を起こす疾患です。
- 症状:
- 痛み:突然、激しい痛みが出ることが特徴です。
- 動き制限:肩の動きが制限されることがあります。
- 原因: 原因は不明ですが、加齢や繰り返しの肩の使いすぎが関係していると考えられています。
- 診断: 症状、問診、身体検査に加え、画像検査(レントゲン、超音波、MRIなど)で診断されます。
4. 腱板断裂
- 特徴: 肩を動かすための腱板が断裂する疾患です。
- 症状:
- 痛み:肩に痛みを感じ、力が入らない。
- 動き制限:肩の動きが制限される。
- 脱力感:腕を上げたり、物を持ち上げたりする力が弱くなる。
- 原因: 繰り返しの肩の使いすぎ、外傷などが原因として挙げられます。
- 診断: 症状、問診、身体検査に加え、画像検査(MRIなど)で診断されます。
各疾患の特徴と症状
疾患名 | 主な症状 | 原因 | その他 |
---|---|---|---|
肩関節周囲炎 | 肩の痛み、可動域の制限 | 原因不明 | 自然に治ることも |
肩峰下インピンジメント症候群 | 肩を上げる時の痛み、夜間痛 | 繰り返しの動作 | スポーツ選手に多い |
石灰沈着性腱板炎 | 突然の激しい痛み、肩を動かすとカクカクする | カルシウム沈着 | 痛みで夜中に目が覚めることも |
腱板断裂 | 肩の痛み、力が出ない | 強い力が加わる | 重い物を持ち上げた時などに起こる |
筋の硬さと肩の痛み
肩周りの筋肉が硬くなることで、肩関節の動きが制限され、痛みや炎症を引き起こしやすくなります。特に、肩甲骨周りの筋肉の硬さは、肩の痛みと深く関わっています。
- 筋の硬さが引き起こす問題:
- 肩関節の可動域制限
- 血液循環の悪化
- 神経の圧迫
- 痛み
- 筋の硬さを改善する効果:
- 肩関節の可動域拡大
- 痛み改善 / 軽減
- 血液循環改善
- 筋肉の柔軟性向上
筋の硬さを改善する方法
- ストレッチ: 肩周りの筋肉、特に肩甲骨周りの筋肉を定期的にストレッチすることで、筋肉の柔軟性を高め、血行を促進できます。
- 運動: 肩関節の動きを促す運動や、肩甲骨を動かす運動を行うことで、筋肉の柔軟性を高め、肩関節の安定性を向上させることができます。
- マッサージ: プロのセラピストによるマッサージや、セルフマッサージで筋肉の緊張をほぐすことができます。
- 温熱療法: 温めることで血行が促進され、筋肉の緊張が緩む効果が期待できます。
- 冷罨法: 炎症がある場合は、冷やすことで炎症を抑える効果が期待できます。
まとめ
肩の痛みは、様々な要因が複雑に絡み合って起こるケースが多く、自己判断での治療は避け、専門医に相談することが大切です。
予防としては、肩周りの筋肉を柔軟に保つためのストレッチや運動、バランスの取れた食事、正しい姿勢などが挙げられます。
治療としては、薬物療法、物理療法、運動療法、手術療法など、様々な治療法があります。
筋の硬さは、肩の痛みの原因の一つであり、これを改善することで、多くの症状が改善される可能性があります。
専門家の指導のもと、適切な治療と予防を行うことで、肩の痛みから解放され、快適な生活を送ることができます。もし、肩の痛みでお悩みでしたら、整形外科、もしくは当院をお気軽に受診下さいませ。